やちよ絵手紙の森美術館

2018年4月の絵手紙エッセー『祝い膳』

春はひと雨ずつ近づいてくる
冷たいみぞれ混じりの雨もあれば
やわらかな芽吹きの雨もある
この季節、三寒四温というけれど
まさに春の訪れは行きつ戻りつ
そんな日々の繰り返しの中で
草花の小さな芽は土の中から
ひょっこりと顔を出す
桃の花の蕾が膨らみを増し
その枝々にピンクの花が彩る
風に運ばれてくる卒業生の歌声で
固い蕾の桜の花の目を覚ます
桃の花が咲く頃
桜の花が門出を祝う頃
漆塗りの祝い膳は忙しくなる
雛祭り、卒園、卒業
入学、入社、そのどれも
家族の笑顔が揃い、絆は強くなる
節目、節目を大切に思う気持ち
祝いの膳に込められた心を
母の愛だったと、初めて気づいた

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