やちよ絵手紙の森美術館

2016年5月の絵手紙エッセー『竹のように』

雨あがりの白く霞んだもやの中を
スコップを担いで歩いた
こんもりと土が盛り上がり、少しだけ
顔をのぞかせたその場所が竹の子
あっちも、こっちも、ニョキニョキ
宝探しのように心がわくわくして
つぎから次にスコップで掘りあげる
まだ、あれは幼い頃
父と一緒に竹藪に入った日のこと
盛り上がった土の場所が分らずに
とうとう諦めてスコップを投げ出した
その時の父の恐ろしい顔つきを
今でも思い出してしまう
何度も何度も失敗して、失敗して
泣きたいほど悔しくても自分をごまかし
他に目をそらしちゃいけない
その時その時、一生懸命に知恵を絞り
一生懸命にならなければ
どこへ行っても同じなんだ
何があっても諦めちゃいけないよ
竹の子にように真っ直ぐに生きろ、と

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