やちよ絵手紙の森美術館

2016年2月の絵手紙エッセー『春と一緒に』

庭先の梅の蕾もだいぶ膨らんで
一日でも間違った春風が吹けば
ポッ、ポッ、と蕾ははじけて
マフラーを首から外すだろうな
でも、まだまだ意地悪な冷たい風は
過ぎ去って行きそうもない二月
お天とう様はいつものように輝いて
物干し竿のうっすら白い霜を拭いて
今朝も洗濯物を干す
あれは少し昔、欲し竿では足りない程
沢山の洗濯物で賑わっていて、
よくぞこんなに汚してくれたものだ、と
独りごとを空に向かって愚痴っていた
しかし、あれは確かに幸せな時だった
その幸せを幸せと気が付きもせず
忙しさを不満としか感じていなかった
そう、今頃になってやっと幸せの意味が
判ったような気がする。洗濯物を干し終え
ふと梅の木の根元に目をやると
小さな節分草が花をつけていた
ほら、もうすぐ春らしいわよ

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