やちよ絵手紙の森美術館

2020年10月の絵手紙エッセー『ほら、笑ってよ』

夕暮れともなると川沿いの散歩道も
いつもの顔ぶれと擦れ違う
刈り取られた後の稲の切り株から
また新しい穂が出て緑色が広がり
草むらから鈴虫やコオロギの声
カマキリ、バッタも飛び交う
秋の色が少しずつ濃くなってきた
首筋を通り抜ける風も心地好く
細い枝を揺らす風が
色とりどりのコスモスの花を
ゆらり、ゆらりと優しく
揺らしている
空を見上げると一筋の飛行機雲
どこまでも長く延びている
そう言えば最近、のんびりと
空を見上げることも忘れていた
気軽な外出も友達とのお喋りも
素敵なレストランの食事も
コロナ渦ですっかり遠のいている
でも、うつむいてばかりいないで
空を見上げて笑って見せてよ

« 前のページに戻る