やちよ絵手紙の森美術館

2014年11月の絵手紙エッセー『夢はいっぱい』

紅葉前線も南下し秋の行楽も終盤
あれほどカラフルだった木々の彩りも
少しずつ辺りの景色が色あせて見えます
暦にふと目を向ければ、残り一枚
一年の月日が何と早いことでしょう
夕暮れ時の少し冷たい風にも
冬の到来を感じるようになりました
この季節、我が家の狭い中庭の実りは
古いザクロの木に赤く熟した実が
パックリと口を開けて笑っています
びっしり詰まって今にもこぼれ落ちそうな
その種は、真紅のルビーのような輝きで
秋の終わりを告げているのです
口に含めば甘酸っぱく、その味は
子供心の遠い記憶を思い出させてくれます
『あのね、ざくろの種はね、一粒一粒が
 夢の種なんだよ。よぉく噛んでごらん?』
誰かが教えてくれた嘘のような
ホント?のような話を信じていた、あの頃
もう、夢を抱くような年齢ではないけれど
それでもやっぱり、夢は心にいっぱいなの

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