やちよ絵手紙の森美術館

2013年11月の絵手紙エッセー『向かい合う』

秋の陽射しは少し寂しげで柔らかい
イチョウの木立は葉を落とし
まあるく輪を作った落ち葉が
重なり合って金色に輝いている
公園の木立ちの下のベンチは、どこも
やわらかな日差しを楽しむように
幾つもの人影が座っている
女学生たちが語らう後ろ姿には
夢や希望が満ち溢れていて、時折
聞こえる明るい笑い声は、高く青い
秋の空にこだましててとても楽しそうだ
そこから少し離れて
赤ちゃんを乗せたバギーを横に置き
単行本を読みふける若いママさんも
しばしの静かな時間を味わっている
そして、その奥のベンチの人影は
ただ黙って遠くを見つめながら
穏やかな時を過ごす背の丸い二人の姿だ
永い道のりを共に歩いてきた時間は
言葉のない深い信頼感に
繋がっているように見える、こころ
向かい合うことって素敵だなあと思う

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